看板書きや表示の塗装などでも、可能な限り理事会がボランティアで作業を行うことにした。材料費だけなら、業者価格の一割程度で済むからである。大規模修繕の直前に元ビジネスマンの理事長は退任し、後任の理事長に就任した私にとって、これらはとても良い経験だった。節約するって、ほんとうに楽しいことなのだ。一度も絞られたことがない雑巾は、絞ればいくらでも絞れるものなのである。成果が数字となって目に見えるとは、なんと楽しいことなのだろうか。
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あえてお金を払っても、独立系の建築士に依頼するお金には一応のメドがついた。いよいよ大規模修繕の開始である。ともかく、建物の状態を調べておかねばならない。もちろん建築業者に一声かければ、喜んで無料で検査してくれる。管理会社が以前に持ってきた提案も、施工を予定していた業者による「無料」の検査を踏まえたものだった。だが、その「無料」というのは、数百万円単位の契約が後に控えているからこその「無料」なのである。すべて相見積もりで安く調達するという精神から考えると、どの業者であれ、ここで無料という名の借りを作ってはいけない。そこで検査料三〇万円を払って、独立系の建築士に一日検査をお願いしたのだ。あとで分かったことだが、この先生は旧建設省のマンション改修工事の仕様書の作成に関わった御本人。改修工事にかけてはベテラン中のベテランだったのだ。
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